からんころん
「お姉さん、こっち!」
「…?」
実果子は呼び止められた。
「早くっ!追いかけてくるよ!」
「…へ?」
「…なんで俺が極悪人なんだよ?」
「くすくすくす…」
「…実果子ちゃん、いつまでも笑わないでくれる?」
「ごめんなさい、だって…」
晴紀は、登場の仕方やら様相で、実果子を狙う極悪人と間違えられたのだ。
「実果子ちゃんが逃げるからいけないんだぞ」
「すみません…」
「…まぁそんなことより、よかった…」
「……………」
晴紀は実果子をカフェに誘った。
実果子はなんだかそわそわしている。
「…なんか用があったりした?」
「えっ…何も!超ヒマですけど…」
「そう?ならいいけど…」
「ははは、何か久しぶりで緊張しますねっ!」
「そうか?…そうだな」
それから2人はコーヒーがくるまで無言だった。
「あー…あったまるね」
「そうですね。おいしい…」
「おめでとう、実果子ちゃん」
「え?あ、ありがとうございます…びっくりした、唐突に…」