からんころん
千夏もあとを追って出ようとしたが、講師がドアを塞いだ。
「谷塚、席に着きなさい」
「でも…」
「いいから!授業を始める」
身ひとつで追い出された実果子は、授業が終わるのをロビーで待っていた。
誰もいないことを確認して…
実果子は泣いた。
「う~っうっ…うっ…なんでぇ…?う~~~!!」
そこへ、遅れてやってきた生徒が入ってきた。
実果子は慌てて泣き顔を隠そうと壁の方を向いた。
ーー早く通り過ぎてくれ…
実果子は心の中でそう念じていた。
なのに…
「授業始まってんじゃねぇの?」
「…うんっ、始まってるよ!早く行った方がいいよー…」
「わかってるよ!…おめーは行かねえのかよ?」
「私は…、ちょっとお腹が…痛いから…」
実果子は壁の方を向いたまま話している。
不審に思った男子は壁に寄り、実果子の顔を覗き込んだ。
「……腹が痛いから泣いてんの?」
「みっ…見ないでよ!」