からんころん
「受験どころじゃない…、俺も何度か保護者として警察に呼ばれてるんだ…」
実果子は急に席を立った。
「実果子ちゃん…?」
「私千夏ちゃん連れ戻してきます!」
「え!?」
実果子は一目散に駆け出した。
「ちょっと…!」
晴紀も慌ててあとを追う。
「実果子ちゃん待って、連れ戻すって場所わかるの!?」
「たぶん!」
「本当に!?俺も知らないのに…」
晴紀は実果子のあとをついていった。
実果子が足を止めたそこは、とあるビルの地下にあるバー。
「…ここ!?」
「……………」
まだ開店前で薄暗い中に、人がたむろしている。
例の不良集団か。
この中に千夏がいるのか…
よそ者だ、と睨まれつつ、2人は潜入した。
「ちょっとあんたら、店まだ開いてないよ」
「お客じゃないです。ちょっと人を探してて…」
「だれぇ?」
「谷塚千夏。俺の妹なんだ」
声をかけてきた男が晴紀をジロジロ見回す。