からんころん
千夏は完全に誤解してひとりで舞い上がっている。
「…ったく、それより何か用か?」
「あーそうそう。お母さんにこれ届けてって頼まれてたの。本当はゆうべ渡すんだったんだけどねー。こういうわけじゃメールにも気づかないか」
「だから…はぁ。もう勝手に思い込んでろよ」
「じゃ、ちゃんと届けたし邪魔者は帰りまーす」
「あ、待って、私も帰る。お兄さん、ありがとうございました!」
「おう…気をつけてな」
実果子は千夏のあとを追った。
「千夏ちゃーん」
「あれ?どうしたの?」
「あのね、私たち本当に何でもないから…はぁはぁ」
「…大丈夫?熱下がったの?」
「うん、もう…はぁはぁ、これくらいで息切らすなんて、やっぱ私歳いってるね…はぁ」
「私はいいよ」
「…へ?」
「実果子ちゃんがお義姉ちゃんなら嬉しい」
「…もう、本当に違うんだってば!」
「いいって!」
「千夏ちゃん!本当に違うから…はぁ、はぁ…」
「…そ?まいいや。…実果子ちゃん、時間まだある?」