からんころん
実果子が、犯人は自分だと名乗り出たからだ。
誠也が実果子を睨みつけ、すたすた近づく…
「返せよ!俺の財布!」
「えっ…その…」
「早く返せ!」
思わず吐いてしまった嘘だった。
本当は盗っていない実果子は、自分の財布を取り出した。
「…いくら入ってたの?」
「そういう問題じゃないだろ!俺の、財布ごと返せ!」
「…ない!」
「どういうことだよ?おまえが盗ったんだろ!?」
「盗ったよ…!」
「じゃあ返せよ!」
「…………」
クラスメイトもみんな実果子を睨みつけている。
「あの…」
千夏が声出した。
「あ…あんまり責めたらかわいそうじゃん…」
「かわいそうなのは俺の方だよ!帰りの電車賃どうしてくれるんだよ!」
「だからいくら入ってたの!?」
実果子は声を荒げた。
「だからそういう問題じゃね…」
「財布はもうないから!」
「はぁ!?どうしたんだよ、俺の財布!」
「そこの…川に投げ捨てた、もう今頃海の底よ!」
「なっ…なんでそんなことすんだよ!?」