からんころん
追放
千夏はもう入った気分でウキウキしている。
実果子の方は…やっぱり自信無さげで苦笑い…。
次の日から、塾の生徒のほとんどが強化合宿へ行った。
実果子を含め、行かなかった5人には補習が行われた。
実果子のクラスメイトは全員合宿に参加し、実果子にしばし平和が訪れた。
はずが…
「遅刻しましたー」
「また君か。早く来んといかんよ」
「ういっす…」
ふてくされた風貌で遅れて来たのは…
高田誠也だ。
実果子の中で平和は音をたて崩れていった…。
ーー…もとはと言えば、こいつの財布が原因で私は…私は…
実果子は斜め後ろの席から誠也を睨みつけ、怒りに震えていた。
ボキッ
「…何だ?今の音は」
実果子が握り締めていた鉛筆が折れた音だった。
講師が教室の外や中をキョロキョロ見回している。
「…なんか最近肩こっちゃって」
腕を振り回しながら誠也がそう言った。
「なんだ君か。すごい音だったぞ。体をほぐさんと…」
ーーかばって…くれた!?