からんころん
補習が終わった。
いつもなら大概この時に集中攻撃にあう。
今日はみんないないから静かに帰れそうだ。
ーーだけどこいつがまた何か言うか…
…誠也も何も言ってこなかった。
「…………」
…妙なくらい静かだ。
「ねぇ」
逆に、実果子の方から声をかけた。
「あ?」
誠也は振り向き、実果子を睨んだ。
「さ…さっき、別にかばってくれなくてもよかったのにっ…」
「は?誰がおまえなんかのために…俺は本当に肩がこってんの。おまえ揉め!」
「へ?…なんで私が!?」
誠也はその場に座り込んだ。
「揉めよ!」
「…………」
なんだか腑に落ちなかったけれど、実果子は仕方なく誠也の肩を揉み始めた。
「弱いっ!鉛筆へし折れるくらい力あんだろうが」
「…大声出さないでよ!」
実果子はおもいっきり強く揉んだ。
今までの怒りや悲しみや鬱憤も全部込めて…
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「あー、効いたー」
誠也はお金を差し出した。