からんころん
「…バカじゃねぇの?」
「え…?」
「なんで自ら罪を被ったんだよ?やってもないのに…」
「ごめん…」
「謝んなよ!俺がごめんだろ!…悪かったな、いろいろ」
誠也は実果子の目を真っ直ぐに見て謝った。
それは嬉しかったけれど…実果子は心配だった。
もし真犯人がみんなにバレたら今度は…
1週間の強化合宿が終わり、実果子の平和もどこへやら…
誠也には無実の罪は晴れたものの、他の生徒からの嫌がらせは終わっていなかった。
「原口!今度は酒か!?」
「飲んでません!」
「じゃあなんだ、この臭いは!?このバッグのふくらみは!?」
講師は実果子のバッグをひっくり返した。
すると大量の缶ビールが飛び出た。
「また…!?」
「またって何ですか?原口さん、また誰かを疑ってるんですかぁ?」
「ひどぉい!」
「せんせー、何か処分とかしないんすか?こんな問題が多い生徒をほっとくんすか?」
「…そうだな。考えんといかんな」
「はっはっはっはっはっ…」
教室の隅の席で誠也が笑っていた。