からんころん
「おもしれー!…あっごめん。実果子ちゃんの分もやっちゃった…」
「ううん、おもしろかったです。お兄さんのフォーム」
「えっ、なんだとぉ~?」
「はははっ。千夏ちゃんも連れてくればよかったですね」
「いやぁ、あんなうるさいの居ない方がいいよ」
「あー、千夏ちゃんに言ってやろ」
「どうぞどうぞ」
晴紀はにこにこして、じっと実果子を見ている。
「…何?」
「やっと笑ってくれたなぁと思って」
「…私、そんなにいつも暗いですか?」
「うん。というより…なんかどこかつらそうだった。笑えばもっとかわいいだろうなって思ってたよ」
「ま…またぁ!お兄さんってば…」
その時、晴紀は実果子を抱き寄せた。
「!?」
「危ないじゃないですか!」
「すみませーん…」
横のお客がボールを持ったまま腕をブンブン、準備運動をしだして、危うく実果子にぶつかるところだった。
「…ありがとうございます」
「そろそろ帰ろうか」