からんころん
「あ…あんたのことが嫌いだからよ!」
教室中が一瞬静まり、すぐにざわめきだす。
「だからってそれはひどいんじゃないのぉ?」
「最低だな」
「ねぇ、私もう帰っていい?バスが来ちゃう」
クラスメイトはブツブツ言いながら次々に帰っていく。
千夏も教室を出ていった。
「…かせっ!」
誠也は実果子の財布を取り上げた。
そして中のお金を全て取り、空になった財布を投げつけて、帰っていった。
実果子は、一人になった教室で腰が抜け、急にぼろっぼろ涙がこぼれてきた。
目立つことが苦手な実果子だから…
とっさに吐いた嘘に自分で驚いていた。
睨みつけるみんなの目…
脳裏に焼き付き離れずに、今頃になって恐くなってしゃがみこんだ。
「あれ?電気つけっぱなしじゃないかー」
まだいる実果子に気づかず、講師は電気を消していった。
もはや自分には味方はいない…
実果子は暗い孤独の中にいた。
ーガラガラガラ…