からんころん
自分らしく
「…別荘で麦茶でも飲もうか」
晴紀は、すっかり気を落としボロボロ泣いている実果子を支え、別荘へ連れて行った。
「………そう、よかった。じゃあ」
晴紀は実家に電話をかけていた。
「千夏、ちゃんと帰りついたって」
「そうですか…。よかった……」
実果子は麦茶にも手をつけず、ぼぉ~っと抜け殻のようになっている。
「…実果子ちゃん、もうあんまり考え込まないでいいから」
「でも……」
「千夏が…友達をここへ連れてきたのは実果子ちゃんが初めてだよ」
「え…」
「ここどころか家にも誰も来たことなかった。千夏に本当の友達なんて、今まではいなかったんだ」
「うそ、千夏ちゃんの周りにはいつも人が集まって…」
「それは…千夏の持ち物にじゃないかな?言っちゃなんだけどうちはわりと金持ちだし、千夏も欲しいもんは何でも買ってもらってた。それにたかってくる連中にあげたりもしてたからな…」
「…違います!千夏ちゃんはいつもニコニコしてて明るいから、だから…」