からんころん
「…ありがと。実果子ちゃんがそう言ってくれるなら兄として俺は嬉しいよ」
「…………」
だけど…実果子は色々思い返してみた。
晴紀が言うことも、外れてない気もした。
でも実果子は、そうじゃないと信じたかった。
「だけど千夏…、なんで盗みなんかしたかな?金が欲しかったんじゃないと思うけど…」
「私…余計なことしちゃった……」
「実果子ちゃんは優しいね」
「そんなんじゃないです…」
「ううん、優しい。千夏をかばったせいで自分がつらい思いしたのに、それでも自分が悪いなんて言ってるし…」
実果子は頑なに首を振っている。
晴紀はもう何もいわず、ただ実果子を見ている。
重たい空気が流れているのを実果子は気にした。
「ごめんなさい…、私…やっぱ暗いですね!千夏ちゃんみたいに明るくなれたらいいのに…」
「別に嫌じゃないよ俺は。千夏は千夏、実果子ちゃんは実果子ちゃんなんだから。知ってるだろ、俺黒が好きだってこと。そういうことだよ」
「…はい?」
「あーあ、千夏のせいでせっかくのバカンスが台無しだな。う~…」