からんころん

晴紀は背伸びをしている。



実果子は“そういうこと”がどういうことかわからずに、考え込んで、難しい顔になっていた。

それを見て、晴紀は吹き出した。



「…何がおかしいんですか?」

「だって実果子ちゃん…ははははは…」

「…何なんですか!?」



晴紀は笑い続けている。


妹は傷ついて帰っていったというのに、なんでこんなにも笑っているのかと、実果子は少し腹が立ってきた。



「…私も帰ります」

「えっなんで?ごめん、なんか俺気にさわっ…」

「千夏ちゃんも帰っちゃったし…」

「…そうだな。…俺と2人きりじゃな!」






時はもう深夜。晴紀は実果子を家まで送った。




「ごめんな、こんなことになって…」

「ううん、こちらこそ…。おやすみなさい……」




実果子の落ち込みようはひどく、部屋に入るなりベッドに倒れ込んだ。

そして布団の中で…朝までずっと涙がとまらなかった。











翌日、晴紀は実家に帰り、千夏を問い詰めた。



「やっぱり実果子ちゃん、お兄ちゃんにチクったんだね」




< 57 / 227 >

この作品をシェア

pagetop