からんころん
晴紀は背伸びをしている。
実果子は“そういうこと”がどういうことかわからずに、考え込んで、難しい顔になっていた。
それを見て、晴紀は吹き出した。
「…何がおかしいんですか?」
「だって実果子ちゃん…ははははは…」
「…何なんですか!?」
晴紀は笑い続けている。
妹は傷ついて帰っていったというのに、なんでこんなにも笑っているのかと、実果子は少し腹が立ってきた。
「…私も帰ります」
「えっなんで?ごめん、なんか俺気にさわっ…」
「千夏ちゃんも帰っちゃったし…」
「…そうだな。…俺と2人きりじゃな!」
時はもう深夜。晴紀は実果子を家まで送った。
「ごめんな、こんなことになって…」
「ううん、こちらこそ…。おやすみなさい……」
実果子の落ち込みようはひどく、部屋に入るなりベッドに倒れ込んだ。
そして布団の中で…朝までずっと涙がとまらなかった。
翌日、晴紀は実家に帰り、千夏を問い詰めた。
「やっぱり実果子ちゃん、お兄ちゃんにチクったんだね」