からんころん
黒い男現る
「ほら、あの人だよ、ドロボー女」
「つーか何あの私服?」
「だってあの人、もう成人式終えてるんだって!受験2回も失敗してるんだって!」
「えー、もう諦めちゃえばいいのに」
「もう無理だよねー。恥ずかしくないのかな」
「盗みはするし、神経が図太いんだよ。よく来れるよなー、はっはっはっ」
心ない陰口は実果子の耳にもしっかり届いてた。
「…私のバッグがない」
「あー、川に投げといたぞ。俺もおめーのことが嫌いだから」
「くすくす…」
誠也がそう言い、クラスメイトは嘲笑っていた。
あの日の事件から、いじめに発展していた。
実果子が川へバッグを探しに行くと、そこに千夏がいた。
千夏は川の中に入っている。
「千夏ちゃん!?」
「あ、あった!」
実果子のバッグは反対側の木の枝に引っかかっていた。
千夏はなりふり構わずずんずん川の中を歩き、取りに行った。
実果子はそれを見ていておろおろ…
「はぁ、はぁ、よかった!実果ちゃーんあったよー!…あああっ」