からんころん
次の週末…家庭教師の日がやってきた。
実果子はきっとまだ落ち込んでいる…
そう思い、晴紀はせめて平然を装おうと決めていた。
「実果子ちゃーん、こっち!!」
平然…以上に、晴紀の異常な明るさに実果子は少し引き気味になった。
「さぁ~、何からやるぅ?英語?数学?」
「お兄さん…」
「あー、勉強以外でもいいよ!たまにはパァ~っと…」
「あの……」
「ん?何?何でも聞くよ!」
「なんか…ヘンです…」
「ヘン?……やっぱなぁ、俺も自分で違和感あった」
「普通でいてください」
「うん…ごめんね!」
「いえ…、ごめんなさい…」
晴紀の気遣いだとは痛いほどわかっていた。
でも…千夏の兄の晴紀に気遣われるのは、実果子はつらかった。
「…ちゃんとご飯食べてる?」
「…食欲なくて。ダイエットしようと思ってたからちょうどいいや。はは」
「ダイエットなんかしなくていいよ」
「…………」
この1週間で、実果子は目に見えてやつれていた。
「でね、……実果子ちゃん聞いてる?」