からんころん

「はぁ…。そんなの実果子ちゃんらしくないよ。俺は待ってるからね」






ーー私らしいって…何だ?




実果子は考えた。
何の取り柄もない私の自分らしいって…




何があってもめげずに前に…進むこと…










「あの、もう閉館ですので…」

「あ…はい」



晴紀はずっと待っていたけど、とうとう図書館は閉まり、とぼとぼと出た。



「…本当に待ってたんですか!?」

「実果子ちゃん!」



外に実果子がボーっと立っていた。



「大遅刻だよ、実果子ちゃん」

「へへへ…」

「…戦、する気になった?」



実果子は首を傾げたあと、静かに頷いた。










「ばあちゃん、いつもの2つ」

「あら晴紀ちゃん」



晴紀は行きつけのそば屋に実果子を連れてきた。



「久しぶりだねぇ、実果子ちゃん」

「えっ、名前…」

「ああ、晴紀ちゃんがよく話してくれるから覚えちゃったんだよ」

「ばあちゃん…!」

「やだ悪口ですか?」

「まさか!晴紀ちゃんね、み…むぐぐぅぐ……」



< 66 / 227 >

この作品をシェア

pagetop