からんころん
「実果子ちゃん!」
谷塚家から300メートルほど離れた付近で実果子はうろちょろ…
道に迷っていた。
「ははは、私ってば…」
「最初から迎えに行けばよかったね。疲れたろ」
「ううん…!」
実果子が迷っていたのは本当は…道にではなかった。
「どうした?」
千夏に会うのが…恐かった。
「…大丈夫だよ。実果子ちゃん」
晴紀も、そんな実果子の気持ちをわかっていた。
だけど2人にはまた前みたいに、仲良くしてもらいたかった。
「ただいまー。実果子ちゃん来たよ!」
千夏は振り向きもせず、食べるのに夢中だった。
「千夏ちゃん…」
「おい千夏!」
「あ、帰ってたんだ。ごめんねー、お腹すきすぎて先に食べちゃった」
「しょうがないなぁ。さっ、実果子ちゃん座って」
「は、はい…」