からんころん

「実果子ちゃん!」



谷塚家から300メートルほど離れた付近で実果子はうろちょろ…


道に迷っていた。





「ははは、私ってば…」

「最初から迎えに行けばよかったね。疲れたろ」

「ううん…!」




実果子が迷っていたのは本当は…道にではなかった。



「どうした?」



千夏に会うのが…恐かった。



「…大丈夫だよ。実果子ちゃん」



晴紀も、そんな実果子の気持ちをわかっていた。



だけど2人にはまた前みたいに、仲良くしてもらいたかった。









「ただいまー。実果子ちゃん来たよ!」



千夏は振り向きもせず、食べるのに夢中だった。



「千夏ちゃん…」

「おい千夏!」

「あ、帰ってたんだ。ごめんねー、お腹すきすぎて先に食べちゃった」

「しょうがないなぁ。さっ、実果子ちゃん座って」

「は、はい…」



< 71 / 227 >

この作品をシェア

pagetop