からんころん
「え?だから…あの、別に笑い者にしてたわけじゃなくて、ただ私は…」
「ああ、あのことね!もうそんな昔のことを。気にしてないよ。じゃおやすみ~」
千夏はあっけらかんと、自分の部屋へ行った。
「な。あいつカエルなんだよ」
「…は?」
「帰ってきたらケロッとしてるっつったろ。心配することなかったんだよ」
「え、ええ…」
「とは言っても、俺もあいつの顔色にドキドキしたけどね。あー疲れた」
「すみません…私のせいで…」
「何言ってんの。元々悪いことしたのは千夏なんだから。あんな妹だけどこれからもよろしくな」
「はい、こちらこそです…あー…よかった」
「さ、この件は終わり!これからは受験勉強に集中しよう」
けれど実果子は、どこかしっくりこなかった。
その後も千夏は図書館にも現れず、会うことはおろか、電話やメールもつながらなかった。
「あいつ俺のこと頼りないんだってさ」