からんころん

「え?だから…あの、別に笑い者にしてたわけじゃなくて、ただ私は…」

「ああ、あのことね!もうそんな昔のことを。気にしてないよ。じゃおやすみ~」



千夏はあっけらかんと、自分の部屋へ行った。



「な。あいつカエルなんだよ」

「…は?」

「帰ってきたらケロッとしてるっつったろ。心配することなかったんだよ」

「え、ええ…」

「とは言っても、俺もあいつの顔色にドキドキしたけどね。あー疲れた」

「すみません…私のせいで…」

「何言ってんの。元々悪いことしたのは千夏なんだから。あんな妹だけどこれからもよろしくな」

「はい、こちらこそです…あー…よかった」

「さ、この件は終わり!これからは受験勉強に集中しよう」



けれど実果子は、どこかしっくりこなかった。




その後も千夏は図書館にも現れず、会うことはおろか、電話やメールもつながらなかった。



「あいつ俺のこと頼りないんだってさ」



< 74 / 227 >

この作品をシェア

pagetop