からんころん
店の外にピカピカの、黒の高級車が停車した。
そして中から真っ黒いサングラスをかけ、真っ黒のスーツを着た黒ずくめの男が降りてきた。
店の中へ入ってくる…!
「…千夏ちゃん!」
「ん?」
男の出で立ちに実果子は怯え、千夏にすがりついた。
男はだんだん2人に寄ってくる。
実果子は恐怖のあまりきつく目を閉じた。
「こんなんでいい?」
「ありがとう、お兄ちゃん」
「お兄…ちゃん!?」
黒ずくめの男は、千夏の兄だった。
千夏が着替えを持って来てと頼んでいたのだ。
「実果子ちゃん、どうかした?」
「えっ、ううんなんでもないよー、ははははは…」
「?」
「ちょっと暖かくなったからって水遊びは早いだろうが」
「いいのー!」
「ごめんなさい、私のせいなんです…」
「違うよー。あ、こちら友達の実果子ちゃん。この黒いのは兄の晴紀」
「実果子ちゃんか。全然気にしなくていいよ。こんな妹煮るなり焼くなりしてやって」
「こんなとは何よぉ?この真っ黒墨男!」