からんころん
ードスッ
「いってぇな、どこ見て歩いてんだよ!」
「ごっごめんなさい…」
人も多くなり、晴紀を探すどころか歩くのもままならない実果子だった。
「あれ、原口さん?」
「はい?」
横から誰かが実果子を名字で呼んだ。
「やっぱりー、元気だった?」
塾に通っていた時、同じ教室だった子だ。
「うん、まぁなんとか…」
「あれ?なんでこんなとこに?千夏に会いに来たの?」
「うん、千夏ちゃんが文化祭あるよって誘ってくれて…でも私、何が何だかわかんなくて…」
「千夏なら体育館にいるよ。あ、この地図あげる」
「あ、助かる…!」
「でも千夏に近づけるかどうかわかんないよ?」
「え?」
「まー行ってみたらわかるよ。じゃ」
「あのっもうひとつだけ…」
「ん?」
「千夏ちゃんのお兄さん見なかったよね?黒い格好した…」