からんころん
窓は黒カーテンに覆われていて、真っ暗だ。
「なっ何!?」
「ちーなーつっ、ちーなーつっ…」
「へっ!?」
館内にいる人たちが一斉に叫んだ。
そして光が走り、音楽が流れ、舞台が照らされると、そこには千夏がいた。
千夏のワンマンショーが始まった。
会場の歓声…まぶしすぎる舞台…
何も知らなかった実果子はあっけにとられ、飲み込むまで少し時間がかかった。
舞台の上の女の子は…まるで知らない女の子みたいだった。
「いてっ、おめぇ足踏んだろ!」
周りはノリノリの中、呆然としていた実果子なのにいきなりそう怒鳴られ、腕を掴まれた。
「ええ!?私じゃな…」
「よぅ。みっけ」
「…誠也くん!」
誠也が脅かしただけだった。
「びっくりしたじゃん…誠也くんも来てたんだね!」
「来たくて来たわけじゃねーよ。なんだあれ?はっはっはっ」