からんころん

誠也は舞台を見て大爆笑した。



「…笑わないでよ!千夏ちゃん一生懸命やってんのに…とても上手じゃない!」

「そっか?俺にはわかんねぇよ。あんただってべつにノッてねぇじゃん」

「そんなことないよっ!ほらっ…」



実果子はギクシャクしながらノッて見せた。



「いてぇっ!!今度はマジで踏んだな!」

「ごめーん…だって狭いんだもっ…」

「折れたかもしんねぇ。この借りは必ず返してもらうからな!」

「わかってるよ!もう…メタメタ…」



実果子は、いろんな感情がぐちゃぐちゃになって泣き出してしまった。


誠也は、実果子の涙に気づいたけれど、気づかないふりをしていた。


実果子は涙を隠そうと、振りなど構わずひたすら踊っていたし、なんとなく気持ちもわかったから…








「みんなー、ありがとー!!」



3回のアンコールの末、千夏のワンマンショーは幕を閉じ、館内も明るくなった。



< 87 / 227 >

この作品をシェア

pagetop