からんころん
誠也は舞台を見て大爆笑した。
「…笑わないでよ!千夏ちゃん一生懸命やってんのに…とても上手じゃない!」
「そっか?俺にはわかんねぇよ。あんただってべつにノッてねぇじゃん」
「そんなことないよっ!ほらっ…」
実果子はギクシャクしながらノッて見せた。
「いてぇっ!!今度はマジで踏んだな!」
「ごめーん…だって狭いんだもっ…」
「折れたかもしんねぇ。この借りは必ず返してもらうからな!」
「わかってるよ!もう…メタメタ…」
実果子は、いろんな感情がぐちゃぐちゃになって泣き出してしまった。
誠也は、実果子の涙に気づいたけれど、気づかないふりをしていた。
実果子は涙を隠そうと、振りなど構わずひたすら踊っていたし、なんとなく気持ちもわかったから…
「みんなー、ありがとー!!」
3回のアンコールの末、千夏のワンマンショーは幕を閉じ、館内も明るくなった。