からんころん
「千夏ちゃんに会いに行ってくる!」
「おいっ…ぶつかって転ぶなよ!」
感動したって伝えたくて、実果子は千夏がいる舞台裏へと急ぐ。
「あーちょっとお姉ちゃん。こっから先は入っちゃだめ」
扉の前にいかつい男が2人立ちはだかって、進行を食い止められた。
「どうして…あの、私千夏ちゃんに会いたいんです」
「だーめだめー、何考えてんのあんた?」
「何って、私はただ…」
「谷塚千夏を誰だと思ってんの。え?」
「ただのここの生徒だろうが。通せ」
誠也があとをついてきていた。そして男2人を払いのけ中へ入ろうとして、誠也は突き飛ばされた。
「誠也くんっ…」
「ってぇな、何すんだよっ!」
「おい、お通りだってよ!」
「はいっ千夏さん、どうぞ…!」
扉から千夏が出てきて再び歓声が巻き起こる。
「千夏ー、かわいかったよー」
「千夏最高ーー」
千夏は男2人に守られ手を振りながら歩いく。まるで大スターだ。
「千夏ちゃーん!お~い!」
実果子も叫んだ。けど千夏は通りすぎていった。