からんころん
「なにを~?」
「あー?お兄ちゃん!もっといいのあったでしょー!」
「それだっていいじゃねぇかー」
「もっとあったもん…!」
「何も泣くことないだろ」
「泣いてないもんっ!」
「あ…あの……」
目の前で繰り広げられる兄妹のやりとりに実果子はたじたじだった。
「…もうしょうがない。実果子ちゃん、こんなんでよかったら私の服あげるから着替えよ。風邪ひいちゃう」
「えっくれるの!?…助けてもらった上にそんな、悪いよ!」
「いいのいいの!…ちょっとお兄ちゃん、いつまで居るの?レディーが着替えるのよ!」
「なーにがレディーだよ?言われなくても今帰ろうとしてたんですぅー。じゃあな!」
晴紀は帰っていった。
「…いいの?せっかく持ってきてくれたのになんだか追い返しちゃうような…」
「いいのいいの。いつもこんな調子だから。これでも仲良しなんだよ!」
「そう…か。私一人っ子だからなんかわかんなくて…、喧嘩してるのかと思った」
「ははは。あっ、実果子ちゃんそれ似合うー、よかった!」