からんころん

はぐれはぐれになった実果子と晴紀はその後、昼過ぎになってやっと会えた。



「よかった。もう会えないかと思った」

「ごめんなさい、私がちゃんとついてればよかったんですけど…」

「こっちこそごめんね。不安にさせちゃったろ」

「ううん。あ、お兄さん、千夏ちゃんのライブ見れました!?」

「ライブ?あいつそんなことやったの?」

「はい、もう大スターって感じですごかったです」

「ははは、笑っちゃうなぁ」

「そんな、本当にすごかったんですよ!あ、今から千夏ちゃん探し行きましょうよ!」

「もう帰ろう」

「え…」

「…あ、まだいたかったらいていいよ。俺はもう帰るわ」



晴紀の様子がなんだか元気がなかった。



「あ…私ももう帰ります!浪人生なんだから勉強しなきゃ」

「そうだね」

「…あの、もしよかったら今から通常通り授業していただけますか?」

「…ごめん。今日はちょっと疲れちゃったんだ。来週穴埋めするから…」

「そう…ですか」

「本当ごめんね」



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