からんころん
言いかけて、晴紀は厨房の中を窺った。
そして誰も見てないことを確認し、小声で話しはじめた。
「ここだけの話、昔あいつここに連れて来た時、不満ばっかこぼしてもう二度と来ないからねって言ってたんだぜ。なのになんで急に来たりしたんだろ?」
「うーん…やっぱりまたここのおそばが食べたくなったとか?」
晴紀は再び首を傾げたけど、
「そうかもな。あいつ単純だし、深い意味ないかもな」
「そうですよきっと」
「ごめんね、変なこと考えさせて」
「なーに?変なことって」
「ばっ、ばあちゃん…!」
「おまちどう、特そばだよ。そのあわてっぷりは内緒話だね?」
「何言ってんの!そんなんじゃないよっ、ねー実果子ちゃん!」
「はっはっはっ、冷めないうちに早く食べな」
「そうするよっ…!」
「はっはっはっはっは…」
おばあちゃんはゲラゲラ笑いながら奥へ入っていった。
「…客をからかうなってなぁ!」
「なんか本当のおばあちゃんみたいですね」
「もうこことの付き合いも長いしなぁ。俺が中1ん時からだから…もう10年か。その頃の俺はめちゃくちゃ荒れててさぁ…」