からんころん

「ちょ、ちょっと…!」



問答無用だった。



「これは…」

「…?」



俺のポケットから、今度はラップにくるまれた白い粉が出てきた。



俺は現行犯逮捕された。



「何なんですか!?」

「これは覚醒剤だろうが!」

「ええっ!?」

「中学生にもなればこれがどういうものかわかるだろ。警察に行こうな」



もちろん俺は身に覚えがなかった。いつの間にか、気づかないうちにあいつらが俺のポケットに入れたんだ。

今度は扉の隙間からニヤッとした視線を感じた。



「お…俺やってない!」



いくらそう言っても信じてもらえず、俺は警察へ連れて行かれ、色々検査をされた。

陽性反応は出ない。当然だ。俺はやってないのだから。
けれど、俺のポケットから出てきた以上、所持容疑は免れなかった…。








「何てことしてくれたんだ!」



家に帰ると折檻地獄が待っていた。
いくらやってないと言っても親さえも信じてはくれなかった。
なんせ当時うちの事業もうまくいってなくて親も余裕がなく常に苛立っている時のことだったから…。



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