からんころん
学校にも…家にも居られず俺はふらふらと外を歩き、気がつくとこのそば屋にやってきていた。
けど中には入らず外でぼんやり立っていた。
お客がすいた頃、ばあちゃんが声をかけてくれた。
「そば、食べるか?おいで」
得体の知れないボロボロな少年を、ばあちゃんはためらいもなく中に入れてくれた。
そば、ただで食わしてくれた。
夏だったから、汗を流せってシャワーまで貸してくれた。
「タオル新しいの出したからここ置いとく…」
ふいに体を見られてしまった。
ばあちゃんは俺の体中の傷やあざの手当てをしてくれた…。
そんな優しさに甘え、厚かましく俺は、しばらくここにおいてくれと頼んだ。
帰りたくなかった。というか、俺なんか帰らない方がいいと思った。
「いいよ」
ばあちゃんはニコニコしながら俺の背中をさすった。
「見てみ。あの時のタバコあとのとこハゲてんだ。はは」
「あ…本当だ……」
「カッコ悪いよな。ははは」
「……………」
「…実果子ちゃん」