【短編】こんな恋もありでしょ。
だけど、恋愛脳は苦手とは思いながらも21歳で処女ともなれば少し焦ってきた。
あたしは一生、恋愛できないままなのかもしれない。って。
だから告白してきてくれた貴重な人と付き合ってみてはいるんだけど。
……やっぱり、なんかダメで。
責まられたら嫌悪感しかわかないし。
キスは我慢すれば何とか……。
って、こういうのっておかしいよね。
キスするのを我慢するなんて絶対おかしい!
あたしは人を愛せない人間なのかもしれない。
なんて半ば本気で悩んでいたことを那央に話したら、意外にもちゃんと聞いてくれて。
それから、二人で『恋愛ってどーやんの?』なーんて討論会がはじまって。
結局、答えなんて出なくて。
そんな事をバカみたいに何度も繰り返してた。
それは那央が就職してから回数は減ったものの、あたし達の友達関係は今でも続いてて。
もう5年になる。
お互い彼氏彼女が出来たら邪魔はしない。
これは暗黙のルールみたいなもの。
ってか、あたしにはもう3年も彼氏なんていないから、これは那央だけのことになっちゃうけどね。
『お前は恋愛対象にならねーからいいわぁ。一生飲み友達でいよーな!』って那央は酔うと決まって言ってるし。
本当に男女の友達ってあるんだって。
本当の本当に、心の底から思ってた。
4ヶ月半前までは……。