【短編】こんな恋もありでしょ。
「俺さ……」
「あー! 待って! 待って! 昨日のことは酔った勢いってやつだからさ。もうお互い忘れるってことでいいんじゃないかな!?」
「……はぁ?」
「ほ、ほら。那央もだいぶ酔ってたでしょう? あたしも、かなり酔ってたんだよね! だからあんまり記憶ないっていうか…、ね? だからお互い忘れよ?」
那央から謝られたらキツイ。
あたしとシたこと後悔されたら哀しいから。
勝手な言い分かもしれないけど。
酔った勢いってことにして欲しい。
あたしが那央を好きだって知られたくない。
こんなマヌケな恋、誰にも知られたくない。
だから、このまま酔った勢いのせいにして、那央への想いはあたしだけの中に隠してしまいたい。
それが、例え友達をやめることになっても。
この関係すら、なくなったとしても。
あたしの気持ちがバレて振られるなんて……ここまでしてしまったあとじゃ、あまりにもお粗末すぎる。
立ち直れる気がしない。