【短編】こんな恋もありでしょ。
それを受け取り、
「で。どした?」
そう尋ねても返事がないことは予想済み。
俺を上目遣いで見つめる目にドキッとしてしまったことがバレないように、葵の頭に掌をのせた。
「とりあえず飲みに行くか」
そう声をかけると、
「仕方ないから付き合ってあげる」
って憎たらしい返事が返ってくる。
「おま……っ! んな可愛くない事ばっか言ってたら、帰んぞ」
「えっ?」
「なーんてな。嘘だっつの、バーカ」
そう言うと、俺は葵の手を取り歩き出す。
『那央!?』って声は無視して。
よかった、まだ大丈夫。
まだ終わってない。