【短編】こんな恋もありでしょ。
長い沈黙のあと
「ごめん、飲みすぎたかも。今日はもう帰るね」
そう言う葵に
「え? ちょっ……」
葵の腕を取ろうとしたけど、スルリと交わされてしまった。
一人残された俺は目を閉じ天を仰いだ。
葵は気付いたのか、俺の気持ちに。
それとも俺だけが恋愛できた事へのショックか。
さっきの反応がどちらのものか、よくわからなかった。
どっちにせよ、俺と葵の関係は変わる。
良くも悪くも、仕掛けたのは俺。
だから、どんな結果になろうとも最後までちゃんとしなきゃならない。
ここで逃げたら、俺は一生恋愛なんて出来ない気すらするし。
ダメで元々。
26歳にもなって初めての恋とやらに立ち向かってみるかっ。