【短編】こんな恋もありでしょ。
「あ、えっと……い、忙しかったの!」
「へぇー。メールのひとつも出来ないくらいに忙しかったんですかー?」
「那央、それ付き合ってる女子みたいなセリフだから。
あ、生おかわりでー」
「お前ねぇ……、あ、俺も生追加で。
んっとに可愛くねぇな」
いつものペースに戻ってきたことに安堵する。
やっぱり、葵とはこういう関係がいいのかもしれない。
だんだん、その想いが強くなってくる。
「ま、細かいことはいいか。今日は飲むか!」
もう、このままでいいんじゃないか。
変に行動おこして、この関係が崩れるよりも今のまま。
それが俺にとっても、葵にとっても良いような気がしてきた。
そもそも、俺が勝手に好きになって。
俺が勝手に我慢できなくなってるだけ。
葵には関係ない。
葵に全てを打ち明けることは、俺自身がスッキリしたいからじゃねぇのか?
そりゃ俺はいいよ、結果が出るんだから。
時間がかかってもやれることは全部やった、だから仕方ないって思えるだろうし。