【短編】こんな恋もありでしょ。
「那央……、はやく…」
俺の下から上目遣いして、そう呟いた葵。
「あおってんじゃねーよっ」
くっそ。
もう止められない。
初めては優しくしよう、さっきまではそう思ってたのに。
俺は中学生か、そう思うくらいに早く葵とひとつになりたい。
「いっ……たぁ」
葵から漏れる声に、動きを一度止めた。
「え? ……もう?」
「いや、まだ半分も入ってないけど、痛いんだろ?」
「やだっ、ちゃんと最後までイれて」
「って、そんな涙目で言われてもなぁ……」
「うー……」
縋りつくような目に、俺は葵の手を背中へと回させる。
「背中掴んでていーから」
「んっ……」
葵の零れた涙を舌ですくうと、葵は真っ赤な顔をもっと真っ赤にした。
「いくぞ?」
そう言うと葵の爪が俺の背中に食い込む。