【短編】こんな恋もありでしょ。


「那央……、はやく…」



俺の下から上目遣いして、そう呟いた葵。



「あおってんじゃねーよっ」



くっそ。

もう止められない。



初めては優しくしよう、さっきまではそう思ってたのに。

俺は中学生か、そう思うくらいに早く葵とひとつになりたい。



「いっ……たぁ」



葵から漏れる声に、動きを一度止めた。



「え? ……もう?」

「いや、まだ半分も入ってないけど、痛いんだろ?」

「やだっ、ちゃんと最後までイれて」

「って、そんな涙目で言われてもなぁ……」

「うー……」



縋りつくような目に、俺は葵の手を背中へと回させる。



「背中掴んでていーから」

「んっ……」



葵の零れた涙を舌ですくうと、葵は真っ赤な顔をもっと真っ赤にした。



「いくぞ?」



そう言うと葵の爪が俺の背中に食い込む。

< 88 / 100 >

この作品をシェア

pagetop