【短編】こんな恋もありでしょ。
「俺さ……」
「あー! 待って! 待って! 昨日のことは酔った勢いってやつだからさ。もうお互い忘れるってことでいいんじゃないかな!?」
「……はぁ?」
って、何キャラにもないこと言ってんだ、こいつ。
「ほ、ほら。那央もだいぶ酔ってたでしょう? あたしも、かなり酔ってたんだよね! だからあんまり記憶ないっていうか…、ね? だからお互い忘れよ?」
「……俺は忘れるつもりないけど」
そんな顔して、何が記憶ないだ?
自分の顔、鏡で見たほうがいいんじゃね?
だけど、俺は
「お前とヤッたこと後悔してる」
変に考え込む前に、先に気持ちを伝えとけばよかった。
ヤってる最中に告白とか……どうなんだよって自分でも思う。
「……ごめん」
そう俯いてボソッと言う葵に首を傾げた。
「なんで、ごめん?」
「……あたしなんかとシちゃって、ごめんね」
「は?」
わけわかんねぇ。
どういう意味だ?