ハナ*ハナ
・・・仲のよい兄妹なのだな。



( 妹か・・・そうだな、
 あんなかわいい妹ならいてもいい 
 なんせ俺の家族ときたら、
 なにを考えているかわからない
 リュウひとりだ )



(ふたごなのに
 なにゆえ何故こうもちがうのか)


それはきっと
お互いに感じていることだろう。


どちらかといえば単純で
思っていることが全て顔に出てしまう俺と

常に冷静で
自分の感情を表に出さないリュウは



(双子なのが、うそだろう?)


そう思うくらい、性格がまるで違う。


「顔も・・・・似てないよな・・・」


ボソッとつぶやいて
歩くのをやめ
ずっと歩いてきた土手をおりてみた。


少し前まで土気色《つちけいろ》だった
その土手は
今や草も伸び始め
青々としている。

この町にきてからは
毎日あるいていた道なのに
土手をおりてみたのは
今日がはじめてだった。


そのままずっと先まで歩いていくと
だんだんと人気のない場所となり
それまで歩いてきた土手よりも
草花のあまりない場所へとたどり着いた。


ここ1週間は
雨も降っていないので
土はカラカラに乾いている。

俺はその土のうえに
豪快に寝転んだ。


( ・・・夏草の、匂いがする・・・ )


( あの土砂降りの雨のあと
 結局この町にすみついてしまったな・・・ )








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