ハナ*ハナ
「おゆきさん・・・」


俺の呼びかけに
彼女の大きな瞳が
ゆるやかにこちらをむいて
ドキッとしてしまう。


「なんですか? 煉さん」


「あ・・・いや、その・・・。
 そっその風鈴、よかったですよね。
 かわいいのがみつかって!」


本音では
その風鈴は気に入らないくせに
そんな『嘘』の言葉が
思わず口を出てしまう。


こっちを向いていた
おゆきさんの瞳が
また風鈴のほうをむき
何かを確かめるように
ゆっくりと頷いた。


「・・・ヒバリは、思い出の鳥なんです・・・」
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