ハナ*ハナ
「いつから・・・知っていたんですか?」


彼女の問いかけに、俺は答える。


「・・・ずっと前から。
 たぶん、はじめて会った時から
 気づいていたんだと思う。」



そう、多分。
彼女をはじめてみかけた
あの春の日に
俺はもう気づいていた。


ひばりを指さして
笑っていた彼女が、
隣りをあるく青年を
好いていたということを。

あの頃は仲のよいふたりを
ただの『兄妹』だと思っていたけれど・・・。



「・・・・・晴信くんは、
 その、おゆきさんの気持ちを・・?」


彼女は首を横に振った。


「多分・・・私の気持ちには
 気づいていないと思います。
 ずっと、兄妹のように育ってきましたから」


その話は以前におゆきさんから
少しだけ聞いたことがあった。


おゆきさんのお母さんというのが
まだ彼女が幼少のころに亡くなって
隣り近所に住んでいた
仲のよかった晴信くんのお母さんが
ずっとおゆきさんの
お母さん代わりだったって。




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