ハナ*ハナ
あらたな、想い
「陽が傾きはじめましたね」


「ああ・・・ほんとうだ。
 これからもっと暑くなるね。」


俺たちが
ゆきさんの
『お気に入りの場所』から
戻ってきたときには
頂上にあった陽が
ちょうど傾きはじめたくらいだった。



俺はその傾きはじめた太陽や
その周りを揺れる雲

その雲を動かす
風の香りを感じながら
この世界は
なんて不思議なんだろうと考えていた。


さっきまで
俺たちがいた場所と
いま、俺たちがいるこの場所は
そんなにとおく
離れているわけじゃない。


なのになぜ
こんなにも季節が違うのだろうかと
考えれば考えるほどに
不思議でたまらなかった。



「ふしぎだなぁ・・・。」


口から漏れた俺の言葉に
ゆきさんが首をかしげる。


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