ハナ*ハナ
(・・・だいじょうぶだ・・・)



彼女を見つめながら
俺は自分に言い聞かせる。



(だいじょうぶ! 
 だいじょうぶだ!!)



「まだ、だいじょうぶだ!」


「え?」


はっとした。


どうやら今度こそ
声にだしていたらしい。


しかもかなり、大きな声で。


俺のその声に
おゆきさんだけじゃなく
まわりの通行人までもが


『なにごとだ?』


という顔でこちらを見ていた。




「なにが、大丈夫なんですか?」


「あっいや、そのっ」



まさか

『きみのことを思ってました』

なんて、口が裂けても言えるわけがない。


彼女の問いかけに
顔が赤くなっていくのを感じた
そのとき----------------。
< 35 / 93 >

この作品をシェア

pagetop