ハナ*ハナ
( なるほど、お似合いのふたりだな )


思わずそう感じてしまうほど
ふたりが、ふたりでいるのが
あたりまえだった。


おゆきさんと晴信くんの間には
一緒に育ってきた時間が長いせいか

『こいびと』というよりは
『家族』に近い空気が
流れていたように思う。


それはふたりを
はじめて見たときに俺が
『兄妹』だと
勘違いをしていたように。


けれど、お市さんと晴信くんは違っていた。


ふたりの間には
しっとりとした空気が流れ
すでに『夫婦』といっても
おかしくないように思う。



『 色恋とは、互いのもつ空気によって造られる 』



それが、おゆきさんと晴信くんが
『恋仲』にならなかった
最たる理由だろう。


『家族』でありすぎたが故
おゆきさんの想いは
彼には届かなかったのだ。
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