ハナ*ハナ
「・・・おかえり」


リュウがいつもと変わらない口調で
俺に言う。


「ああ、ただいま・・・」


「ひどい顔だぞ」


「・・・・・・・・・・」



おゆきさんたちと別れてから
結局草履屋は見ずに
俺はまっすぐ帰路についた。



「なんか、いろいろあってさ。」


俺はゴロッと横になった。


「おゆきさんと一緒にいたんだけど
 偶然彼女のすきな幼なじみに会って
 今日は、つかれたよ・・・」


「また、会ってたのか?」


リュウが言った。


俺はため息をひとつつき


「偶然だよ!
 ぐ・う・ぜ・ん!
 おまえが心配するようなことは何もねえよ!」



抗った声で言った。


リュウに対しての俺は
いつもこうだ。


俺のほうが兄貴なのに
どこをどう見ても落ち着いている
リュウのほうが兄貴にみえる。


それが・・・くやしい。


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