ハナ*ハナ
俺はずっと
俺にないものを持っているリュウが
ひどくねたましかった。


ふたごなのに
どうして俺とはちがうのだろうと。


どうして俺には
・・・ないのだろうと。


もし俺にヤツと同じ力があれば
今その力を
彼女のためにつかえるのに------



( ばかげている )


ふと我にかえる。

願っても叶わないということを
俺は知っている。

こんなこと
思うほうがどうかしていることだって
いやになるほど
わかっているのに・・・。


『力』があったって
いいことなんてないじゃないか。
リュウがどれだけの思いをして
生きているのか

それを1番知っているのは
傍らでみてきた、俺なのに---。

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