ハナ*ハナ
( 俺は、いやな人間だ・・・ )


そう思い
自己嫌悪でいっぱいになったとき


( パサッ )


上から何かが落ちてきた。


それは俺の匂いの染み付いた
掛布団だった。




「どうせ、寝るんだろ?」


布団の上から
にくたらしいリュウの声が聴こえた。

ふてくされて
そのまま寝てしまうのは
術中八苦、俺のくせ。



「・・・うるせっっ!」



リュウにはほとんど
聴こえないくらいの声で俺は言う。



でも、ほんとうは・・・。


「今日はリュウが仕事じゃなくて
 よかったな・・・」



そう思っていた。


こんなモヤモヤした気持ちのまま
ひとりでいるのは耐えられない。

こうして一緒にいて
何かあっても
無理に俺を詮索しないリュウの性格は
俺にはひどくありがたかった。


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