ハナ*ハナ
想い
『5本松の3本目に
 真白な花を結んでおき
 叶えたい願いを綴っておくと
 願いが叶う』



この町でいつからか
囁かれはじめた言葉。


けれどこの町だけじゃなく
その言葉は
多くの町で密かに囁かれてきたことを
俺たちは知っている。


俺たちの行く先々で
その言葉は生まれてきたのだから・・・。




「・・・これは、引き受けられないな」


「・・・リュウ・・・」


「わかっているだろう?
 俺たちが
 どんな願い事を手助けするかは」


「・・・・・・・・・・・・」



リュウの言いたいことは
誰よりもわかっていた。


「この手紙に、返事はできない。
 たとえこれが
 お前の好きな子だとしてもだ。」



リュウは
俺が奪った手紙を取り返して
その手紙をごみ箱へ投げ入れた。

たとえ引き受けない仕事でも
依頼人の手紙を
こんなふうに扱うリュウを
見たのは初めてだった。

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