ハナ*ハナ
「すみません、こんな遅くに」


「いや、それはかまわないけど
 何かあったんですか?」


いつもは冷静な晴信君が
動転している様が見てとれた。



「おゆき・・・」


「えっ?」


「おゆきはこちらに
 きていないでしょうか!」


息をとぎらせながら
彼は青い顔をして言った。


「こんな時間なのに
 まだ家に帰っていないんです!」


「・・・煉さんなら
 何かご存知かと思って・・・!」



時刻は9時を回っていた。



「いや、ここには来ていないよ。
 夕方、『柔』で別れてからは
 会っていない」


「そうですか・・・。
 実は俺もゆきとは
 『うす井』で別れたきりなんです。
 用事があって家に行ったのですが
 帰ってなくて・・・。

 こんな時間までゆきが帰らないなんて
 初めてなんです!!」

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