ハナ*ハナ
尋常じゃない・・・と思った。


俺はリュウに訳を説明し
もしおゆきさんが
ここにきたのなら
家で待たせてほしいと頼んだ。


そして言うが早いか
俺と晴信君は
おゆきさんを捜しに家を出た。



「二手に分かれましょう!
そのほうが、見つかる確率は高い!」



俺は晴信君にそう言って
曲がり角で彼と別れた。

このあたりはあらかた
探し回ったと晴信くんは言っていた。

けれど、万が一の確率を求めて
俺はもう一度
ゆきさんの立ち寄りそうなところを
かたっぱしから回ってみる。


月が、さっきよりも高い位置で俺を照らす。


「ここには、いないな」


彼女の行きそうなところを
思いつく限り
ひととおり周った。


息をきらせながら、俺は考える。

彼女の行きそうなところは
他にどこにあるのか。


ぐるぐる ぐるぐる


昼間に会った
おゆきさんの顔がうかぶ。

その時、


( あそこかもしれない )


俺のなかで、根拠のない自信が芽生えていた。


< 55 / 93 >

この作品をシェア

pagetop