ハナ*ハナ
「・・・なんだか煉さんには
 こんなとこばっかり
 見せちゃいますね」


泣きすぎたせいだろう。

彼女の声は
いつもよりも低くかすれている。


「ごめんなさい。
 大丈夫です!
 わたしもう、大丈夫です。」


その言葉を聞いて
俺の胸は張り裂けそうな気持ちで
いっぱいになった。



( なんど彼女から
 『大丈夫です』という言葉を聞いただろうか )



笑顔で飲み込んだ本当の言葉を
俺は見抜いてあげられなかった


『大丈夫』


そう何度も繰り返した
彼女の言葉は
俺にではなく
本当は自分自身に向けて
言っていた言葉だったのかもしれない。


俺は彼女の手をにぎりしめ
そっとその細い肩を引き寄せた。

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