ハナ*ハナ
帰り道。


手をつないだままの俺に
彼女は言う。


「あのとき・・・
 煉さんがきてくれたとき
 本当はわたし、
 晴信かもって思いました」


俺は何も言えなかった。

ただ彼女が
これ以上傷つかないよう
ただそれだけを祈った。


「晴信が来てくれるって
 信じていたんです。
 ばかな、女でしょう・・・?」


それきり彼女は口をつぐんだ。


そう言い放つ彼女の瞳には
まだ涙が滲んでいた。
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