ハナ*ハナ
呪いや
その日は朝から
雨が降っていた。

まるでおゆきさんが
泣いているように
俺には見える。


俺はめずらしく
一睡もできずに
布団のなかで

ただ、朝がくるのを
じっと待っていた。


考えまいとするほどに
昨夜の彼女と
そして彼女の書いた
あの手紙を思い出す。



『婚約を取りやめてほしい』



そう書かれた、彼女の手紙・・・。


誰かを好いたりしたのなら
その相手と幸せになりたいと
きっとだれもがそう願う。


けれどその願いが
到底叶わぬと知ったとき
人のなかには
『邪』がめばえることがある。
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